お達者度と生前対策

「お達者度」ってご存知ですか?

 

静岡県が独自に算出している「健康寿命」のこと、だそうです。何気なく新聞を読んでいて、ふっと目に留まったのですが、なかなか良いネーミングですよね。調べてみますと、静岡県の公式ホームページには、平成21年のデータから掲載されていました。この「健康寿命」とは、65歳から健康に自立して過ごせる期間を示す指標のことで、このたび、2014年版の県内「お達者度」ランキングが発表されました。男女別に、1位は男性が川根本町(19.29年)、女性が森町(22.43年)、県内全体の平均は、男性が17.81年、女性が21.02年だったそうです。[静岡県公式HP/お達者度]

 

ちなみに、同ホームページに、お達者度が長くなる人の特徴も掲載されていました。

 『お達者度って、どうやったら長くなるの?』 [出典/静岡県HP]

 

・お達者度が長い市町の特徴として、運動習慣がある人、大豆製品を食べる人、緑茶を飲む人が多く、喫煙経験がある人や肥満に該当する人が少ないことが挙げられました。

 

・また、世代間の交流が多く、二世帯以上で居住する人が多いことも特徴として挙げられました。

 

・県内の高齢者約14,000人を対象とした追跡調査では、「運動」「食生活」「社会参加」が長生きにつながると考えられました。また、「緑茶」をよく飲む人ほど、長生きという結果でした。

緑茶ってやっぱり健康に良いのですね!

 

 

健康寿命が相続対策実行のリミットです

相続対策にとって、この「健康寿命」は非常に重要なキーポイントです。財産引き継ぎの“道しるべ”を立てるのは、誰あろう、財産を所有する方であり、その方が健康で自立した状態であってこそ、できることだからです。高齢になり判断力が落ちて、例えば認知症を発症してしまった場合、成年後見人を立てるなどの方法が考えられます。しかし、成年後見人は、被後見人の財産を守ることに関しては有効であっても、次世代に引き継ぐ相続対策を施す道は、残念ながら、後見人を立てた時点で、全く絶たれると言っても過言ではありません。

 

まさしく「元気で長生き」が最大の相続対策なのです。

 

ただ、元気である内に、自らの死後を考えることには、誰でも抵抗があるのは当然です。また特に、ご主人に先立たれた奥様は、手持ちの財産を減らすことに非常に不安を感じられることが多いようです。この先、生きていく上で先立つものが無ければと思う心境は、十分に理解できますし、家族がいくら相続対策で生前贈与を進言しても、実行に移すことは難しいでしょう。

 

さて、この場合に効果を発揮しそうな方法があります。それは「マネープラン」を検討することです。65歳からの老後資金は、いくらかかるか?この金額の見当がつけば、生前贈与などの相続対策を安心して実行することができます。

 

 

老後に必要な資金はいくら?

では、老後資金がいくら必要か、概算してみましょう。

総務省家計調査報告(家計収支編)2016年平均結果によると、高齢夫婦無職世帯(夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの無職世帯)では、実収入が212,835円に対して消費支出が237,691円、非消費支出(税金および健康保険料、雇用保険料、年金の社会保険料として強制的に支払わされる支出)29,855円で、その収支差54,711円が、毎月の赤字です。次に、老後が何年続くか見てみます。厚生労働省の平成28年の主な年齢の平均余命によると、65歳時点の平均余命は男性19.55年(80.98歳)、女性24.38年(87.14歳)です。仮に男女の中間値をとって老後は22年続くとしましょう。毎月赤字54,711円×22年×12月=14,443,704円、日常の生活費だけで約1,450万円が必要ということになります。

次に介護費用です。公益財団法人生命保険文化センターの調査によると、介護期間は平均4年11ヶ月(59.1ヶ月)、月々の費用は平均79,000円です。この他に住宅改修や介護用ベッドの購入などの一時費用平均80万円を合算すると、79,000円×59.1月+80万円=5,468,900円となることから、介護費用として約550万円は用意しておきたいところです。

以上の計算から、老後資金として必要な金額は、生活費1,450万円+550万円=2,000万円ということになります。これはあくまでも平均値ですので、在宅介護のための自宅バリアフリーやリフォーム費用なども想定するとすれば、2,000万円~2,500万円の資金を確保したいところです。

 

このように、老後の資金を大体把握することができれば、逆算して生前対策をすべき金額が算出できます。生前贈与には様々な方法があります。なるべく早い時期に(お達者度が高いうちに!)行えば、施せる対策の幅は広がります。ぜひ、早期対策をお勧めします。

 

また、子世代が親世代に相続の話を切り出すタイミングの問題は、相続対策の永遠のテーマであり、非常に難しいものですが、例えば健康寿命の話題から、具体的な老後資金の必要額の話をすることによって、親世代の安心感を引き出せば、生前対策のキッカケの一つになるのではないかな、と考えます。

 

今の時代、人生100年も現実のものとなってきました。でも、自分が何歳まで生きられるのか、人間の寿命は全く予想がつきません。

健康寿命が天寿に近づくには?

自立した生活をまっとうするには?

日々の心がけが大事ですよね。

 

健康維持のために・・・まずは毎日緑茶を飲みましょう!(笑)

 

 

 

弊事務所では、生前対策として、節税はもちろんご夫婦のライフプランも考慮した対策のご提案をしております。

「相続のことは気になるけど、何をどうすれば…」と漠然としたお悩みでも、とにかく誰かに話すうちに悩みの輪郭が見えてくるものです。当事務所は、女性税理士ならではのきめ細かな対応で、あなたの不安を解決するお手伝いをいたします!どんなことでもご相談ください